次の【事例】を前提とし,自白の効力に関する後記1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを2個選びなさい。
【事例】
Xは,A所有の建物をAから買い受けたと主張して,当該建物を占有しているYを被告として,所有権に基づき建物の明渡しを求める訴えを提起した。
1.Yが抗弁として,Xとの間で当該建物について使用貸借契約を締結した旨を主張し,Xがこれを認める旨を陳述した場合,Yの同意があっても,Xは,当該陳述を撤回することができない。
2.Yが抗弁として,Aとの間で当該建物について,賃料1か月10万円とする賃貸借契約を締結した旨を主張した場合において,Xが,賃貸借契約締結の事実は否認しつつ,YがAに毎月10万円の金員を支払っていたとのYの主張部分は認める旨を陳述したときであっても,裁判所は,YのAに対する金員の支払の事実を判決の基礎としなくてもよい。
3.YがAを賃貸人,Yを賃借人とする賃貸借契約書を提出して書証の申出をした場合において,Xが,当該契約書は真正に成立したことを認める旨を陳述したときは,裁判所は,当該契約書が真正に成立しなかったと認めることはできない。
4.Yが抗弁として,Aとの間で当該建物について賃貸借契約を締結した旨を主張し,Xがこれを認める旨を陳述した場合,裁判所は,賃貸借契約締結の事実が存在することを判決の基礎としなければならない。
「平成22年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000046902.pdf)をもとに作成