司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 公法系科目

第38問 (配点: 2)


損失補償に関する次のアからウまでの各記述について,法令又は最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ア.土地収用法(以下「法」という。)第71条に基づく補償金の額の決定に際しては,事業認定の告示の時から権利取得裁決の時までに近傍類地の取引価格に変動が生ずることがあり,その変動率は必ずしも法第71条による修正率と一致するとはいえないから,被収用者は,収用の前後を通じて被収用者の有する財産価値を等しくさせるような補償を常に受けられるものとはいえないが,憲法第29条第3項にいう「正当な補償」とは,その当時の経済状態において成立すると考えられる価格に基づき合理的に算出された相当な額をいうのであって,必ずしも常に上記の価格と完全に一致することを要するものではないから,法第71条の規定は憲法第29条第3項に違反するものではない。

(参照条文)土地収用法
第71条 収用する土地又はその土地に関する所有権以外の権利に対する補償金の額は,近傍類地の取引価格等を考慮して算定した事業の認定の告示の時における相当な価格に,権利取得裁決の時までの物価の変動に応ずる修正率を乗じて得た額とする。

 

イ.土地収用に伴い,被収用地で営まれていた営業を一時休止せざるを得なくなった場合,営業の休止がなければ得られていたはずの収益は,土地収用法上損失補償の対象になる。

ウ.都市計画決定に基づく都市計画道路の区域内に土地及び建物を所有している者が,当該都市計画に係る事業が決定から60年以上にわたって着手されないことにより,その間,当該土地への建築物の建築につき都市計画法第53条の建築制限を受けてきた場合には,そのような長期間の建築制限による損失は,通常,一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲を超えた特別の犠牲に当たるから,憲法第29条第3項の損失補償を必要とする。

(参照条文)都市計画法
第53条 都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施行区域内において建築物の建築をしようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,都道府県知事の許可を受けなければならない。ただし,次に掲げる行為については,この限りでない。
一~五 (略)
2,3 (略)

1.ア○ イ○ ウ○
2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○
6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○
8.ア× イ× ウ×

「平成21年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006451.pdf)をもとに作成

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