司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 刑事系科目

第9問 (配点: 3) 備考: 順不同(部分点なし)


文書偽造の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。

1.甲は,行使の目的で,乙を債務者とする乙名義の金銭借用証を勝手に作成した。同借用証に乙の氏名の記載はあるが,その押印がなかった場合,甲には無印私文書偽造罪が成立する。

2.甲は,氏名を隠してA会社に就職しようと考え,同社に提出する目的で,履歴書用紙に,架空の氏名として「乙」などと記載し,その氏名の横に「乙」と刻した印鑑を押した上,甲自身の顔写真をはり付けた履歴書を作成した。甲がA会社に就職して勤務する意思を有していた場合でも,履歴書の作成名義人と作成者との人格の同一性にそごがあるので,甲には有印私文書偽造罪が成立する。

3.甲は,A会社の経理担当者として,同社のパソコン記憶装置内の会計帳簿ファイルにデータを入力する権限を有していたが,自己の横領行為を隠ぺいするため,同ファイルに虚偽のデータを入力して記憶させた。甲は,私電磁的記録である同ファイルにデータを入力する権限を有しているので,甲には私電磁的記録不正作出罪は成立しない。

4.公務員でない甲は,行使の目的で,虚偽の内容を記載した証明願を村役場の係員に提出し,情を知らない同係員をして村長名義の虚偽の証明書を作成させた。甲は,情を知らない同係員を利用して虚偽の公文書を作成しているので,甲には虚偽公文書作成罪の間接正犯が成立する。

5.Aの代理人でない甲は,行使の目的で,「A代理人甲」と署名し,その横に「甲」と刻した印鑑を押してA所有の不動産の売買契約書を作成した。同契約書については,Aが作成名義人であるので,甲には有印私文書偽造罪が成立する。

「平成21年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006453.pdf)をもとに作成

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