司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 刑事系科目

第4問 (配点: 2)


次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。

1.甲は,日ごろから暴行を加えて自己の意のままに従わせていた12歳の乙に対し,寺院のさい銭箱から現金を盗んでくるように指示したところ,乙は,是非善悪の判断能力を有していたものの,甲の日ごろの言動に畏怖してその意思が抑圧されていたため,甲の指示どおりに窃盗を行った。この場合,乙に是非善悪の判断能力があると認められる以上,甲には窃盗罪の共同正犯が成立する。

2.甲は,乙所有の材木を自己の所有物であると偽って情を知らない丙に売却し,丙は,乙の材木置場から当該材木を搬出した。この場合,情を知らないことにつき丙に過失があったとしても,甲は窃盗罪の正犯となる。

3.甲は,12歳の乙に対し,丙から現金を強取してくるように指示したところ,乙は,是非善悪の判断能力を有していたものの,甲の指示どおりに強盗を実行した。この場合,甲の指示は,乙の意思を抑圧するに足る程度のものではなく,乙が自らの意思により前記強盗の実行を決意した上,臨機応変に対処して強盗を遂げたとしても,乙が刑事未成年である以上は,甲には強盗罪の間接正犯が成立する。

4.甲は,乙に執拗に暴行・脅迫を加えた結果,同人を厳冬期に漁港の岸壁から自動車ごと海中に転落して自殺する以外の行為を選択することができない精神状態に陥らせた上,同人に上記態様で自殺するよう指示し,乙は,甲の指示に従って,自殺することを決意し,自ら上記態様で海中に転落して溺死した。この場合,甲は自ら殺人の実行行為を行ったとはいえないので,殺人罪の正犯とならない。

5.甲は,乙に対し,同人が自殺すれば甲もその直後に後を追って自殺する旨うそをつき,乙は,その旨誤信して自殺することを決意し,甲から受け取った毒薬を服用して死亡した。この場合,乙に真実自殺する意思がある以上,甲には自殺教唆罪が成立するにとどまり,殺人罪の正犯とならない。

「平成21年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006453.pdf)をもとに作成

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