司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 刑事系科目

第2問 (配点: 2)


因果関係に関する次の【見解】に従って後記1から5までの各事例における甲の罪責を検討した場合,甲に( )内の犯罪が成立しないものはどれか。

【見解】

行為自体の危険性が結果へと現実化したものと認められる場合には,行為と結果との間の因果関係を肯定し,そうでない場合にはこれを否定する。行為の危険性は,行為時に存在した全事情を基礎に判断する。

1.甲は,乙を突き飛ばして転倒させ,同人のひじに擦過傷を負わせた。乙は,重篤な心臓病で心臓発作を起こしやすい状況にあったため,転倒したショックで心臓発作を起こして死亡した。(傷害致死罪)

2.甲は,乙を殴って転倒させ,同人にそのまま放置すれば死亡する危険のある頭部外傷を負わせた。乙は,病院に行って治療を受ければ死亡することはなかったが,自らの意思で病院に行かなかったため,前記傷害が原因で死亡した。(傷害致死罪)

3.甲は,夜間,見通しの悪い道路に無灯火のまま駐車させていた普通乗用自動車のトランク内に乙を監禁したところ,その自動車に,たまたま通り掛かった丙運転の自動車が丙の不注意により追突し,それによる傷害が原因で乙は死亡した。(監禁致死罪)

4.甲は,乙を殴って転倒させ,同人にそのまま放置すれば死亡する危険のある頭蓋内出血の傷害を負わせた。乙は,病院において治療を受けたが,なお死亡する危険のある状態であったところ,乙の入院中に何者かがその病院に放火し,これにより発生した火災が原因で乙は焼死した。(傷害致死罪)

5.甲は,自己の運転する自動車を不注意により歩行者乙に衝突させ,同人にそのまま放置すれば死亡する危険のある頭蓋内出血の傷害を負わせた。前記衝突により乙は甲の自動車の屋根の上に跳ね上げられたが,甲は,それに気付かないまま自動車を走行させていたところ,助手席に乗車していた丙は,間もなく屋根の上にいた乙に気付き,同人を屋根の上から引きずり降ろして路上に転落させ,乙は,その衝撃で前記傷害が悪化したことが原因で死亡した。(自動車運転過失致死罪)

「平成21年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006453.pdf)をもとに作成

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