申立事項と判決事項に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.原告が提起した貸金1000万円の返還を求める訴えについて,弁済期の未到来のため給付判決をすることができない場合には,原告が訴えを変更しないときであっても,裁判所は,これに代えて1000万円の貸金債権の存在を確認する判決をすることができる。
イ.原告が平成20年9月25日に貸し付けた1000万円の貸金の返還を求める訴訟において,審理の結果,被告がその貸金を返還したものの,同年12月14日に原告が貸し付けた2000万円の貸金はまだ返還していないことが明らかになったときは,裁判所は,原告が求めた1000万円の支払の限度で,請求を認容する判決をすることができる。
ウ.原告が提起した不動産の所有権に基づく所有権移転登記の全部抹消登記手続を求める訴えについて,裁判所は,その不動産が原告及び被告の共有関係にあると認めたときは,実質的な一部抹消登記手続として,原告の共有持分に応じた更正登記手続を命じる判決をすることができる。
エ.50万円を超えて貸金債務が存在しないことの確認を求める訴えについて,裁判所は,50万円を超えて債務が存在すると認めた場合には,貸金残額の存否ないしその限度を明確に判断することなく,直ちに請求を棄却する判決をすることができる。
オ.少額訴訟において,裁判所は,原告が50万円の支払を求める場合であっても,被告の資力その他の事情を考慮して特に必要があると認めるときは,50万円を5回に分けて毎月10万円ずつ支払うことを命じ,この分割払の定めによる期限の利益を失うことなく支払をしたときは,訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の判決をすることができる。
1.ア イ
2.ア ウ
3.イ エ
4.ウ オ
5.エ オ
「平成21年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006452.pdf)をもとに作成