司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成20年 公法系科目

第27問 (配点: 3)


法人税法(平成13年法律第129号による改正前のもの。以下同じ。)上の質問検査権に関する最高裁判所平成16年1月20日第二小法廷決定(刑集58巻1号26頁)の次の判示を読み,後記アからエまでの各記述について,明らかに同決定の考え方と整合しないもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。

法人税法「156条によると,同法153条(中略)に規定する質問又は検査の権限は,犯罪の証拠資料を取得収集し,保全するためなど,犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使することは許されないと解するのが相当である。しかしながら,上記質問又は検査の権限の行使に当たって,取得収集される証拠資料が後に犯則事件の証拠として利用されることが想定できたとしても,そのことによって直ちに,上記質問又は検査の権限が犯則事件の調査あるいは捜査のための手段として行使されたことにはならないというべきである 」

(参照条文)法人税法
第153条 国税庁の当該職員又は法人の納税地の所轄税務署若しくは所轄国税局の当該職員は,法人税に関する調査について必要があるときは,法人に質問し,又はその帳簿書類その他の物件を検査することができる。
第156条 前三条の規定による質問又は検査の権限は,犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

 

ア. 税務調査を行うための質問検査権の制度は,刑罰を背景とした間接強制による証拠資料の収集を可能にしているとしても,刑事責任追及のための資料の取得収集に直接結び付く作用を一般的に有する手続として認められたものではなく,租税の公平確実な賦課徴収のために必要な資料を収集することを目的とする手続であって,必要性,合理性が肯定できるから,憲法第35条及び第38条の趣旨に反するものではない。

イ. 法人税法第156条に違反した質問検査権の行使であるかどうかの判断に当たっては,その質問検査権を行使した主体の主観的な意図は考慮すべきではない。

ウ. 犯則調査は,一種の行政手続であって刑事手続(司法手続)ではないから,その実質が租税犯の捜査としての機能を有するものであっても,法人税法第156条にいう「犯罪捜査」に含まれない。

エ. 税務調査によって事案の内容を把握することにより,犯則調査に移行する可能性があることを認識しながら,質問調査権を行使したにとどまる場合は,必ずしも,法人税法第156条によって禁止されている質問検査権を犯則調査のための手段として行使する場合に当たらない。

1. アとイ
2. アとウ
3. アとエ
4. イとウ
5. イとエ
6. ウとエ

「平成20年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006411.pdf)をもとに作成

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