被告人の死亡を理由とする公訴棄却決定が確定した場合であっても,新たに発見された証拠によって,その公訴棄却決定が被告人作出の内容虚偽の証拠に基づくものであったことが明白となったときは,再起訴を妨げるものではないとの結論を採る場合,次の1から5までの各記述のうち,この結論の論拠となり得ないものはどれか。
1. 刑事訴訟法が公訴棄却事由として定める「被告人が死亡したとき」とは,被告人の死亡ではなく,被告人の死亡の証拠がある場合の意味である。
2. 被告人の死亡による公訴棄却決定は,非終局的な決定であるため,確定裁判の効力が生じない。
3. 再起訴禁止による利益を受けるためには,被告人にその利益を要求できる資格が必要であると解すべきである。
4. 被告人の死亡による公訴棄却決定は,訴訟続行が無意味となるため訴訟を打ち切る点において,心神喪失を理由とする公判手続の停止と同性質のものである。
5. 再起訴禁止の効力が及ばなくなる事情の変更とは,新証拠の発見ではなく,被告人の死亡という事実自体の変化でなければならない。
「平成20年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006413.pdf)をもとに作成