司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成20年 刑事系科目

第20問 (配点: 2)


次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。

1. 甲は,盗んだ銀行キャッシュカードを現金自動預払機に挿入して現金を払い戻し,これを手に入れた。この場合,甲は人を欺いていないから,甲に詐欺罪は成立しないが,人の事務処理に使用する電子計算機に不正な指令を与えて財産権の得喪・変更に係る不実の電磁的記録を作り,財産上の利益を得たといえるから,甲に電子計算機使用詐欺罪が成立する。

2. 甲は,乙所有の土地を甲が乙から買い受けた事実がないのに,登記申請に必要な書類を偽造して登記官に提出し,当該土地につき乙から甲への所有権移転登記をさせた。この場合,不動産の占有が甲に移ったといえるから,甲に詐欺罪が成立する。

3. 甲は,架空人である乙名義でX銀行Y支店に預金口座を開設しようと企て,乙に成り済まして預金口座を開設し,乙名義の預金通帳の交付を受けた。この場合,預金通帳は口座開設に伴って発行される証書にすぎないので,甲に詐欺罪は成立しない。

4. 甲は,架空人である丙名義で預金口座を開設した上,乙に対し,「あなたの息子が交通事故を起こし,直ちに示談のお金が必要である。」とうそを言って,自ら通帳・印鑑を所持する上記口座に乙をして現金を振り込ませた。この場合,甲は,いまだ他人名義の口座に振込みを受けたにすぎないので,甲には詐欺未遂罪が成立するにとどまる。

5. 甲は,生活費に窮したため,返済する意思がないのに,知人の乙に,「故郷にいる自分の父親が亡くなった。故郷に帰るお金がないので貸してほしい。」旨のうそを言って金員の借入れを申し込んだところ,乙は,そのうそを見破り,甲に返済の意思がないことを察したが,憐憫の情から,甲に現金を手渡した。この場合,乙は錯誤に陥っていないので,甲には詐欺未遂罪が成立するにとどまる。

「平成20年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006413.pdf)をもとに作成

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