文書に関する次の1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。
1. 判例によれば,訴え提起後に挙証者自身が作成した文書は,実質的に相手方の反対尋問の機会を奪うことになるので,証拠能力が認められない。
2. 作成名義人による署名がある私文書は,形式的証拠力が事実上推定され,相手方の反証によりこの推定が覆されなければ実質的証拠力が法律上推定される。
3. 訴訟において相手方の主張を争うのは自由であるから,当事者が,相手方提出の文書が真正に成立したものであることを知りながら,その成立を争ったとしても,何らの制裁を受けることはない。
4. 別件訴訟において行われた証人尋問の調書の写しは,これを証拠とすることを認めると,相手方の反対尋問の機会を奪うだけでなく,直接主義の原則に反することになるので,その証人の尋問を行うことが困難な場合であっても,書証として提出することはできない。
5. 裁判所が当事者からの申立てを採用して行った文書送付嘱託に基づき,文書所持者から裁判所に送付された文書についても,相手方がその成立を争った場合には,その成立が真正であることを証明しなければならない。
「平成20年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006412.pdf)をもとに作成