時効に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア. 土地の継続的な用益という外形的事実が存在し,かつ,それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは,土地賃借権の時効取得が可能である。
イ. 債務につき消滅時効が完成した後に,債務者が債務の承認をした以上,時効完成の事実を知らなかったときでも,以後その完成した消滅時効を援用することは許されない。
ウ. 取得時効を主張する時効援用権者は,占有を開始した以後の任意の時点を時効の起算点として選択することができる。
エ. 相続人が,被相続人の死亡により,相続財産の占有を承継したばかりでなく,新たに相続財産を事実上支配することによって占有を開始して,その占有に所有の意思があるとみられる場合においては,被相続人の占有が所有の意思のないものであったときでも,相続人は新権原により所有の意思をもって占有を始めたものといえる。
オ. 債務者兼抵当権設定者である原告が債務の不存在を理由として提起した抵当権設定登記の抹消登記手続請求訴訟において,債権者兼抵当権者である被告が請求棄却の判決を求め,被担保債権の存在を主張したとしても,その債権につき裁判上の請求に準ずる消滅時効中断の効力は生じない。
1. ア イ
2. ア エ
3. イ ウ
4. ウ オ
5. エ オ
「平成20年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006412.pdf)をもとに作成