司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成19年 公法系科目

第7問 (配点: 3) 備考: 部分点なし


次の文章は,いわゆる泉佐野市市民会館事件判決(最高裁判所平成7年3月7日第三小法廷,民集49巻3号687頁)の判示を要約したものである。後記の小問1及び2に答えなさい。

集会の用に供される公共施設の管理者は,施設をその集会のために利用させることによって,他の基本的人権が侵害され,公共の福祉が損なわれる危険がある場合には,その利用を拒否することができる。そして,制限が必要かつ合理的なものとして肯認されるかどうかは,基本的には,基本的自由としての集会の自由の重要性と,当該集会が開かれることによって侵害されることのある他の基本的人権の内容や侵害の発生の危険性の程度等を較量して決せられるべきものである。ただし,(a)この較量をするに当たっては,集会の自由の制約は,基本的人権のうち精神的自由を制約するものであるから,経済的自由の制約における以上に厳格な基準の下になされなければならない。それゆえ,本件会館条例が会館の使用を許可してはならない事由として規定している「公の秩序をみだすおそれがある場合」とは,広義の表現を採っているとはいえ,本件会館における集会の自由を保障することの重要性よりも,本件会館で集会が開かれることによって,人の生命,身体又は財産が侵害され,公共の安全が損なわれる危険を回避し,防止することの必要性が優越する場合をいうものと限定して解すべきであり,その危険性の程度としては,単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず,明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解するのが相当である。(b)このように限定して解する限り,当該規制は,他の基本的人権に対する侵害を回避し,防止するために必要かつ合理的なものとして,憲法第21条に違反するものではない。

下線部(a)に関連する次の1から3までの見解のうち,明らかに誤っているものを選びなさい。

1. 経済的自由は,精神的自由と同様に,自己実現にとって不可欠であるだけでなく,人間生活の基盤をなす重要なものである。

2. 精神的自由といえども,それを保障するためには殺人や傷害といった犯罪行為を取り締まる法制度が必要であるから,経済的自由と性格が異なるものではない。

3. 精神的自由は民主主義過程の維持保全にとって不可欠な権利であるが,自己実現に役立つわけではない。

「平成19年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006371.pdf)をもとに作成

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