司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成19年 公法系科目

第3問 (配点: 2)


私人間における人権保障に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているもの二つの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。

ア. 憲法は,国家対国民の関係を規律する法であるから,憲法の人権規定は,特段の定めのある場合を除いて私人間においては適用されないとする説は,国家と社会を分離する自由主義的国家論と,人権はすべての法秩序に妥当すべき価値であるとの考え方を理論的背景としていると指摘されている。

イ. 憲法の人権規定は,私人間においても直接適用されるとする説に対しては,私法の国家化をもたらし,私的自治の原則及び契約自由の原則の否定にならないか,国家権力に対抗するという人権の本質を変質ないし希薄化する結果を招くおそれがあるのではないかと指摘されている。

ウ. 市民社会の自律的作用を尊重すべきであることから,民法第90条の公序良俗規定等の私法の一般条項を媒介として,憲法の人権規定を私人間において間接的に適用するとする説に対しては,資本主義の高度化に伴い,国家類似の組織を有し,国家類似の機能を行使する社会的権力の登場による人権侵害の危険性と可能性が増大していることを看過していると指摘されている。

エ. 私人相互間の社会的力関係から,一方が他方に優越し,事実上後者が前者の意思に服従せざるを得ない場合,憲法の人権規定を,私人間においても適用ないし類推適用するとする説に対しては,こうした関係は法的裏付けないしは基礎を欠く単なる社会的事実としての力の優越関係にすぎず,国又は公共団体の支配が権力の法的独占に基づいて行われる場合とは性質上の相違があると指摘されている。

1. アとイ
2. アとウ
3. アとエ
4. イとウ
5. イとエ
6. ウとエ

「平成19年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006371.pdf)をもとに作成

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