司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成19年 刑事系科目

第23問 (配点: 3) 備考: 3問以上正解で部分点2点


次の1から5までの【見解】は,令状によらない差押え等を規定した刑事訴訟法第220条第1項の「逮捕する場合」の解釈に関するものである。後記【発言】は,学生AないしEが,1から5までのいずれかの【見解】を採って,ほかの学生の【見解】について発言したものである。学生AないしEの【見解】は,それぞれ1から5までのうちどれか。なお,同じ【見解】を採っている学生は存しない。

【見解】

1. 現実に逮捕したことを要する。
2. 逮捕に着手したことを要するが,逮捕に成功したかどうかは問わない。
3. 被疑者が現場に存在し,直ちに逮捕に着手し得る状態にあることを要する。
4. 被疑者が現場に存在しなくとも,時間的に接着して逮捕されれば足りる。
5. 被疑者が現場に存在しなくとも,逮捕が見込まれる状態にあれば足り,結果的に逮捕に着手されたかどうかは問わない。

【発言】

学生A. C君の見解は,判例の立場と同じだけれど,それでは,事後的な逮捕の成否により捜索差押えの適法性が左右されることになり,不合理だ。

学生B. D君の見解は,私の見解と同様に基準が明確になり,濫用防止に優れている点は理解できるが,刑事訴訟法が「逮捕した場合」ではなく,「逮捕する場合」と規定している文理から離れているという問題がある。

学生C. E君の見解は,被疑者がいないまま,結局,最後まで逮捕に着手しなかった場合であっても,「逮捕する場合」に当たるということになるので,文理から離れすぎていて妥当でない。

学生D. A君の見解は,逮捕の着手すらない時点から無令状の捜索差押えができることになり,不当だ。

学生E. B君の見解は,逮捕の着手に先立って,被疑者らによる証拠の破壊等を防止する必要が生じることもあるという捜査の実情に対する配慮が欠けていて,硬直的な見解である。

 

学生Aの見解

「平成19年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006373.pdf)をもとに作成

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