司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成19年 刑事系科目

第1問 (配点: 3)


判例の立場に従って次の【事例】の甲の罪責について検討した場合,後記1から5までの各記述のうち,正しいものはどれか。

【事例】

甲は,女子中学生を自動車に乗車させるなどしてホテルの一室に連行し,睡眠薬を服用させて熟睡させた上,同女にわいせつな行為をすることを企て,自動車を運転中に見かけた女子中学生乙(14歳)に対し声を掛け,「君のお母さんが交通事故に遭って病院に運ばれた。私は病院から頼まれて君を迎えに来た。お母さんのいる病院まで連れて行ってあげるから車に乗って。」と虚偽の事実を述べた。甲の言葉を信じた乙が甲運転車両の後部座席に乗車すると,甲は,同車を運転して同所から約10キロメートルの地点にあるホテルAに向かった。甲は,同車を走行中,信号待ちをしている間にあらかじめ用意しておいた缶飲料を開け,密かに睡眠薬を混入させた上,「飲むと落ち着くよ。」と述べて乙に手渡した。乙は,甲から手渡された睡眠薬入りの缶飲料を飲むと間もなく眠り込んだ。

甲は,乙を自動車に乗車させてから約30分後にホテルAに到着すると,眠り込んだままの同女を抱きかかえて同ホテルの一室に連れ込み,ベッドに横たえた上で部屋の出入口ドアを施錠したところ,同女が目を覚ました。乙は,母親が入院している病院ではなくホテルの一室に自分が連れ込まれていることに気付き,室外に逃げ出すため出入口ドアに近づこうとした。甲は,わいせつな行為を乙が熟睡している間にすることで犯行の発覚を免れようと計画していたことから,同女が目を覚ました以上わいせつな行為は断念せざるを得ないが,捕まらずに逃げるために,当分の間同女を室内にとどめて人と接触させないようにしなければならないと考えた。そこで,甲は,出入口ドアの前に立ちふさがり,乙が出入口ドアに近づくのを妨げるとともに,同女に対し「部屋の中で大人しくしていろ。外には見張りがいるので逃げようとしても無駄だ。勝手に部屋から出ようとしたら痛い目に遭わせてやる。」と述べて同女を脅した上で,同女を残して1人で部屋を出て,そのまま自動車を運転してホテルAから立ち去った。

乙は,甲に脅されたため,勝手に室外に出ると暴力を振るわれるのではないかと恐れて室内にとどまっていたが,目を覚ましてから約1時間後に意を決して出入口ドアを開けたところ見張りなどいないことに気付き,室外に出て同ホテルのフロントに助けを求めた。

 

1. 未成年者誘拐罪(刑法第224条),わいせつ目的誘拐罪(刑法第225条),監禁罪(刑法第220条)及び脅迫罪(刑法第222条第1項)が成立する。

2. わいせつ目的誘拐罪,監禁罪及び準強制わいせつ未遂罪(刑法第179条,第178条第1項)が成立する。

3. 未成年者誘拐罪,監禁罪及び準強制わいせつ未遂罪が成立する。

4. わいせつ目的誘拐罪,脅迫罪及び準強制わいせつ未遂罪が成立する。

5. 未成年者誘拐罪及び監禁罪が成立する。

「平成19年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006373.pdf)をもとに作成

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