司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成18年 公法系科目

第22問 (配点: 2)


最高裁判所平成2年12月13日第一小法廷判決(民集44巻9号1186頁・多摩川水害訴訟上告審判決)から引用する次の判示に照らし,後記アからウまでの各記述について正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

「国家賠償法2条1項にいう営造物の設置又は管理の瑕疵とは,営造物が通常有すべき安全性を欠き,他人に危害を及ぼす危険性のある状態をいい,このような瑕疵の存在については,当該営造物の構造,用法,場所的環境及び利用状況等諸般の事情を総合考慮して具体的,個別的に判断すべきものである。ところで,河川は,当初から通常有すべき安全性を有するものとして管理が開始されるものではなく,治水事業を経て,逐次その安全性を高めてゆくことが予定されているものであるから,河川が通常予測し,かつ,回避し得る水害を未然に防止するに足りる安全性を備えるに至っていないとしても,直ちに河川管理に瑕疵があるとすることはできず,河川の備えるべき安全性としては,一般に施行されてきた治水事業の過程における河川の改修,整備の段階に対応する安全性をもって足りるものとせざるを得ない。そして,河川の管理についての瑕疵の有無は,過去に発生した水害の規模,発生の頻度,発生原因,被害の性質,降雨状況,流域の地形その他の自然的条件,土地の利用状況その他の社会的条件,改修を要する緊急性の有無及びその程度等諸般の事情を総合的に考慮し,河川管理における財政的,技術的及び社会的諸制約のもとでの同種・同規模の河川の管理の一般的水準及び社会通念に照らして是認し得る安全性を備えていると認められるかどうかを基準として判断すべきであると解するのが相当である」

 

ア. 「現に改修中の河川については,河川管理の特質に由来する財政的・技術的・社会的諸制約のもとで一般に施行されてきた治水事業による河川の改修・整備の過程に対応する過渡的安全性で足りる」とする見解は,前記判示によって明確に否定されることとなった。

イ. 「道路への落石を防止するための措置を講じるための費用が多額にのぼり予算措置に困却することがあっても,道路の管理の瑕疵によって生じた損害に対する賠償責任を免れ得ない」とする見解は,前記判示によって明確に否定されることとなった。

ウ. 「河川法に基づく計画に従って改修・整備が完了した河川が備えるべき安全性とは,同計画に定める規模の洪水における流水の通常の作用から予測される災害の発生を防止するに足りる安全性である」とする見解は,前記判示によって明確に否定されることとなった。

1. ア○ イ○ ウ○
2. ア○ イ○ ウ×
3. ア○ イ× ウ○
4. ア○ イ× ウ×
5. ア× イ○ ウ○
6. ア× イ○ ウ×
7. ア× イ× ウ○
8. ア× イ× ウ×

「平成18年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006517.pdf)をもとに作成

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