司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成18年 刑事系科目

第13問 (配点: 3) 備考: 順不同(部分点なし)


次の【事例】ⅠないしⅢについて,「ある被害者に対する業務上過失致死罪が成立するためには,行為時に,人の死傷の結果を伴う事故発生についての予見可能性とともに,その被害者の存在についての具体的な認識ないし認識可能性が必要か。」という点に関する後記の【見解】AないしCを採って検討した場合,業務上過失致死罪が成立しないとの結論になる組合せを,後記1から5までのうち二つ選びなさい。

【事例】

Ⅰ. トラックの運転手甲は,助手席に1名,後部荷台に2名が同乗しているトラックを運転中,指定最高速度を超える高速度で運転したためハンドル操作を誤り,自車を道路脇の信号柱に衝突させた。そのため,後部荷台に同乗していた2名が同車から振り落とされて死亡したが,助手席の同乗者に被害はなかった。甲は,助手席に同乗者1名がいることは認識していたが,後部荷台に同乗者がいることは全く認識しておらず,認識可能性もなかった。

Ⅱ. トラックの運転手乙は,Ⅰの事例における甲と同様の事故を起こした際,助手席に同乗者1名がいることを認識していたほか,後部荷台に同乗者がいることについても認識可能性があったが,実際に2名が後部荷台に同乗していることは全く認識していなかった。

Ⅲ. トラックの運転手丙は,助手席に1名,後部荷台に2名が同乗しているトラックを運転中,交差点で一時停止をした後,周囲に人や車がいないのを確認した上,信号に従って同車を発進させた。その際,後部荷台に同乗していた2名がたまたま立ち上がろうとしてバランスを崩し,同車から落下して死亡した。丙は,助手席に同乗者1名がいることは認識していたが,後部荷台に同乗者がいることは全く認識しておらず,認識可能性もなかった,なお,丙は,発進の際,助手席の同乗者に衝撃を与えないように十分気を付けていたものであり,実際に助手席の同乗者は衝撃を受けず,被害もなかった。

【見解】

A. 人の死傷の結果を伴う事故発生についての予見可能性は必要だが,被害者については,自車に同乗者がいるという認識ないし認識可能性は不要である。

B. 事故発生についての予見可能性に関しては見解Aと同じである。被害者については,自車のどこかに少なくとも1名の同乗者がいるという認識ないし認識可能性があれば足り,そのほかにも同乗者がいるという認識ないし認識可能性までは不要である。

C. 事故発生についての予見可能性に関しては見解Aと同じである。被害者については,自車の後部荷台に少なくとも1名の同乗者がいるという認識ないし認識可能性が必要だが,そのほかにも同乗者がいるという認識ないし認識可能性までは不要である。

1. Ⅰ-A
2. Ⅰ-C
3. Ⅱ-B
4. Ⅱ-C
5. Ⅲ-A

「平成18年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006519.pdf)をもとに作成

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