司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成18年 刑事系科目

第5問 (配点: 3)


判例の立場に従って次のアからオまでの【事例】の甲の行為(乙に対する関係に限る。)について検討し,横領罪と背任罪の成否に関する後記の【結論】ⅠないしⅢに分類した場合,各事例とその結論の組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。なお,横領罪は業務上横領罪を含むものとする。

【事例】

ア. 甲は,自己の所有する不動産を乙に売却して代金を受領した後,所有権移転登記をしない間に,乙に無断で,借金をしている丙のため,その不動産に抵当権を設定して登記を完了した。

イ. 甲は,乙から,乙がAに金員を貸し付けて質物として交付を受けたA所有の高級腕時計の鑑定を頼まれ,乙のためにその時計を保管していたが,Aから返還を求められたことに応じ,乙に無断で,その時計をAに交付した。

ウ. 乙株式会社では,開発したコンピュータプログラムは乙会社の顧客にだけ使用させるとの内規があったにもかかわらず,そのプログラムを自己のCD-ROMで管理していた乙会社営業課長甲は,内規に違反し,乙会社の顧客ではない知人Aの依頼に応じ,乙会社に無断で,そのCD-ROMを社外に持ち出して,プログラムをA方のコンピュータに入力した。

エ. Aは,自己の所有する不動産を乙に売却して代金を受領した後,所有権移転登記をするまでの間に,その不動産を更に甲に売却しようとしたところ,甲は,Aがその不動産を既に乙に売却済みかもしれないとの未必的な認識を有しながら,この点を確認しないまま,Aからその不動産を購入して登記を完了した。

オ. 甲は,乙に対する債務の担保として,乙のため,自己の所有する不動産に抵当権を設定したが,抵当権設定登記をしない間に,乙に無断で,借金をしている丙のため,その不動産に一番抵当権を設定して登記を完了した。

【結論】

Ⅰ. 横領罪が成立する。
Ⅱ. 背任罪が成立し,横領罪は成立しない。
Ⅲ. 横領罪も背任罪も成立しない。

1. アⅠ-イⅠ
2. アⅡ-ウⅢ
3. イⅢ-エⅡ
4. ウⅡ-オⅠ
5. エⅢ-オⅡ

「平成18年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006519.pdf)をもとに作成

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