司法試験短答式試験過去問題一問一答

利用規約プライバシーポリシーご意見・お問い合わせランダム一問一答

令和6年 刑法

第2問 (配点: 2)


次のアからオまでの各記述を判例の立場に従って検討した場合、正しいものの組合せは、後記1から5までのうちどれか。

ア.甲は、真冬の深夜、甲から暴行を受けて衰弱したAを河川堤防上に連れて行き、未必の殺意をもって、Aを脅迫して護岸際まで追い詰め、さらに、Aに対して殴りかかる態度を示したため、逃げ場を失ったAが足を滑らせて堤防から3メートル下の川に転落して溺死した。この場合、甲に殺人罪は成立しない。

イ.非科学的な力による難病治療を標ぼうしていた甲は、小児Aがインスリンを定期的に摂取しなければ死亡する現実的な危険性がある重度の糖尿病患者であることを認識しながら、甲を信頼するAの母親Bに対し、Aへのインスリンの不投与を執ようかつ強度に働き掛けた。Bは、Aを完治させるためには甲の指導に従う以外に方法はないといちずに考え、Aへのインスリンの投与という期待された作為に出ることができない精神状態に陥り、甲から言われるがままAへのインスリン投与を中止したため、Aはその後間もなく死亡した。この場合、甲に殺人罪が成立する。

ウ.甲は、Aの殺害を企て、致死量の毒物を混入した砂糖を、情を知らない郵便配達員を介して、贈答品を装ってAに郵送し、Aがこれを受領したが、Aは、毒物の混入に気付いたため、同砂糖を食用に供することはなかった。この場合、甲に殺人未遂罪が成立する。

エ.甲は、Aに成り済ましてAの管理する資材置場に保管されていたA所有の建設機械を自己の所有物であるかのように装って中古機械業者Bに売却し、甲をAと思い込んでいたBが甲との約定に基づき同建設機械を同置場から搬出した。この場合、甲にAに対する窃盗罪は成立しない。

オ.医師ではない甲は、妊婦であるAから依頼を受けてAの堕胎手術を開始したが、医術により胎児を排出しなければAの生命に危険を及ぼすおそれが生じたため、医師であるBに胎児の排出を求めた。Bは、Aの生命に対する危険を避けるため胎児をAの母体外に排出させた。Bに緊急避難が成立する場合、甲に同意堕胎罪は成立しない。

1.ア イ
2.ア オ
3.イ ウ
4.ウ エ
5.エ オ

「令和6年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001421189.pdf)をもとに作成

令和6年 刑法 第2問 (配点: 2) | 司法試験短答式試験過去問題一問一答
このエントリーをはてなブックマークに追加
3 / 36