名誉に対する罪に関する次の【見解】についての後記1から5までの各【記述】のうち、誤っているものはどれか。
【見解】
名誉毀損罪(刑法第230条)の保護法益は人の外部的名誉(社会的評価、社会的名誉)であり、侮辱罪(刑法第231条)の保護法益は人の主観的名誉(名誉感情)である。また、侮辱罪は、事実を摘示した場合にも成立し得る。
【記述】
1.この【見解】からは、意識を喪失した終末期の患者に対する侮辱罪が成立しないことになる。
2.この【見解】に対しては、侮辱罪の規定が公然性を要求していることを十分に説明できないとの批判が可能である。
3.この【見解】からは、刑法第231条の「事実を摘示しなくても」という文言は、事実の摘示の有無にかかわらず侮辱罪が成立し得るという趣旨で解釈される。
4.この【見解】からは、法人に対する侮辱罪の成立を認めることが可能である。
5.この【見解】からは、名誉毀損罪が成立する場合にも、同時に侮辱罪が成立する可能性がある。
「令和4年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001371988.pdf)をもとに作成