司法試験短答式試験過去問題一問一答

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令和3年 刑法

第10問 (配点: 2)


窃盗罪における不法領得の意思についての次の各【見解】に従って後記の各【事例】における甲の罪責を検討した場合,後記1から5までの各【記述】のうち,正しいものはどれか。なお,後記の各【事例】における甲の行為は,いずれも窃盗罪の客観的要件を全て満たすものとする。

【見解】

A.不法領得の意思として,権利者を排除して所有者として振る舞う意思及び何らかの用途に従って利用・処分する意思が必要である。

B.不法領得の意思として,権利者を排除して所有者として振る舞う意思は必要であるが,何らかの用途に従って利用・処分する意思は不要である。

C.不法領得の意思として,何らかの用途に従って利用・処分する意思は必要であるが,権利者を排除して所有者として振る舞う意思は不要である。

D.不法領得の意思は不要である。

【事例】

Ⅰ.甲は,勤務先の会社の上司乙を困らせる目的で,乙が机の引き出し内に保管していた同社の銀行届出印をひそかに持ち出し,自宅の天井裏に隠匿した。

Ⅱ.甲は,乙が不在であることを知り,一時的に借用して直ちに戻す意思で,乙方の玄関先に無施錠で駐輪されていた乙の自転車を無断で乗り出し,100メートル先の店まで移動して用事を済ませ,その乗り出しから5分後,同自転車を同玄関先に戻した。

Ⅲ.甲は,X市議会議員選挙に際し,候補者乙の得票数を水増しする目的で,同市選挙管理委員会が保管していた投票用紙50枚を投票所から持ち出し,乙の支持者らに交付して乙に対する投票を依頼した。

【記述】

1.A及びBいずれの見解によっても,事例Ⅰでは窃盗罪が成立する。
2.A及びDいずれの見解によっても,事例Ⅱでは窃盗罪が成立する。
3.B及びCいずれの見解によっても,事例Ⅱでは窃盗罪が成立する。
4.B及びDいずれの見解によっても,事例Ⅲでは窃盗罪が成立する。
5.C及びDいずれの見解によっても,事例Ⅰでは窃盗罪が成立する。

「令和3年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001350704.pdf)をもとに作成

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