名誉毀損罪及び侮辱罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものはどれか。
1.名誉毀損罪及び侮辱罪の保護法益は,いずれも人の外部的名誉であり,法人については,侮辱罪の客体になり得ない。
2.死者であっても,その外部的名誉を保護すべきことに変わりはないので,死者の名誉を毀損する事実が摘示された場合も,その事実の真偽にかかわらず,名誉毀損罪が成立し得る。
3.特定かつ少数の者に特定人の名誉を毀損する事実を摘示した場合,その内容が拡散する可能性があったとしても,「公然と」事実を摘示したことにはならない。
4.風評の形式を用いて人の社会的評価を低下させる事実が摘示された場合,刑法第230条の2にいう「真実であることの証明」の対象となるのは,風評が存在することではなく,そのような風評の内容たる事実が存在することである。
5.表現方法が嘲笑的であるとか,適切な調査がないまま他人の文章を転写しているなどといった,事実を摘示する際の表現方法や事実調査の程度は,摘示された事実が刑法第230条の2にいう「公共の利害に関する事実」に当たるか否かを判断する際に考慮すべき要素の一つである。
「令和2年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001326055.pdf)をもとに作成