放火罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,正しいものを2個選びなさい。
1.甲が自己の所有する空き家に放火したが,公共の危険が生じなかった場合,甲には,非現住建造物等放火未遂罪が成立する。
2.甲が乙に頼まれて,乙所有の大型家具を,丙が居住する家屋に近接する甲所有の畑地で燃やし始めたところ,周辺に火の粉が飛び散り,予期に反して,同家屋の屋根のひさしに飛び火して,同ひさしを焼損させたところで火が消し止められた場合,甲には,延焼罪が成立する。
3.甲が住宅内にいる乙を殺害する目的で放火し,住宅が焼失した上,乙が死亡した場合,甲には,殺人罪は成立せず,現住建造物等放火罪のみが成立する。
4.甲が,一部の部屋のみが現に住居に使用されている木造の集合住宅の空き部屋に放火し,同室のみを焼損させた場合,甲には,現住建造物等放火罪が成立する。
5.甲が憂さ晴らしの目的で,甲の世帯を含めて計30世帯が居住するマンション内部に設置されたエレベーターのかご内に,灯油を染み込ませて点火した新聞紙を投げ入れて放火したが,エレベーターのかごの側壁を焼損したにとどまり,住居部分には延焼しなかった場合,甲には,現住建造物等放火未遂罪が成立する。
「令和2年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001326055.pdf)をもとに作成