司法試験短答式試験過去問題一問一答

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令和2年 刑法

第9問 (配点: 2)


原因において自由な行為に関する次の各【見解】に従って後記の各【事例】における甲の罪責を検討した場合,後記1から5までの各【記述】のうち,誤っているものはどれか。

【見解】

A.責任能力がある状態で行われた原因行為を実行行為と捉える。

B.責任能力を欠いた状態で行われた結果行為を実行行為と捉えつつ,責任能力は意思決定時に存在すれば足り,必ずしも実行行為時に存在することは必要ない。

【事例】

Ⅰ.甲は,X宅に赴いて同人を殺害しようと決意し,心神喪失状態に陥る可能性があることを認識しつつ,自宅において景気づけのために覚醒剤を使用したところ,心神喪失状態に陥り,当初の計画どおりXを殺害した。

Ⅱ.甲は,X宅に赴いて同人を殺害しようと決意し,心神喪失状態に陥る可能性があることを認識しつつ,自宅において景気づけのために覚醒剤を使用したところ,心神喪失状態に陥ったが,X宅には赴かず,Xの殺害には及ばなかった。

Ⅲ.甲は,覚醒剤を使用すると粗暴になり周囲に暴行を加える習癖があると知りつつ,覚醒剤を使用した結果,心神喪失状態に陥り,Xと口論になり,殺意を生じて同人を殺害した。

【記述】

1.Aの見解によれば,事例Ⅰでは,甲に,Xに対する殺人既遂罪が成立し得る。

2.Aの見解を採った上で,未遂犯の成立時期は結果発生の現実的な危険性が生じた段階に求められるべきで,それが常に実行行為の開始段階に認められる必然性はないと考えれば,事例Ⅱでは,甲に,Xに対する殺人未遂罪は成立しない。

3.Aの見解によれば,事例Ⅲでは,甲に,Xに対する殺人既遂罪が成立し得る。

4.Bの見解によれば,事例Ⅰでは,甲に,Xに対する殺人既遂罪が成立し得る。

5.Bの見解によれば,事例Ⅱでは,甲に,Xに対する殺人未遂罪は成立しない。

「令和2年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001326055.pdf)をもとに作成

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