司法試験短答式試験過去問題一問一答

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令和元年 刑法

第20問 (配点: 2)


次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものの個数を後記1から5までの中から選びなさい。

【事例】

甲は,友人乙から,借金の返済に窮している旨の相談をされ,乙に対し,「実家に親父の高級腕時計がある。それを盗んで売りさばけば金になる。」と提案し,甲と別居する甲の実父V方からV所有の腕時計を盗むことを唆した。乙は,甲の提案を受け,V方に窃盗に入ることとしたが,仮に,窃盗を行う際にVらに見付かって逮捕されそうになった場合には,Vらをナイフで脅してこれを抑圧し,逃走しようと考えた。

乙は,某日午後0時頃,前記の意図でナイフを購入し,それを携帯してV方に向かい,同日午後1時頃,腕時計を盗む目的で,V方に窓から侵入した上,寝室でV所有の腕時計(時価100万円相当)を窃取した。乙は,その後間もなく,V方玄関ドアの施錠を外して戸外に出て,誰からも発見,追跡されることなく,V方から約1キロメートル離れた公園まで逃げた。乙は,同所において,やはり現金も欲しいと考え,再度V方に窃盗に入ることを決意し,V方に戻り,同日午後1時30分頃,V方玄関内に入ったところ,その直後に帰宅してきたVと鉢合わせとなったことから,逮捕を免れるため,前記ナイフをVの面前に示し,Vが恐怖の余り身動きできないうちに逃走した。

乙は,翌日,甲に前記腕時計の売却を依頼した。甲は,同腕時計の売却先を探し,知人丙に対し,その買取りを申し向けたところ,丙が80万円で購入する旨答えたことから,同腕時計を丙に売却した。甲は,丙から同腕時計の売却代金として80万円を受け取ったが,その後,これを自己のものにしようと考え,乙に無断で,その全額を遊興費として費消した。

【記述】

ア.乙が某日午後0時頃に購入したナイフを携帯してV方に向かったことについては,「強盗の罪を犯す目的」が認められないので,乙に強盗予備罪は成立しない。

イ.乙がVをナイフで脅迫したことについては,腕時計の窃取行為との時間的・場所的な近接性に照らせば,窃盗の機会の継続中に行われたものといえるため,乙に事後強盗罪が成立する。

ウ.甲が乙に腕時計の窃盗を唆したことと,その売却をあっせんしたことは,原因と結果の関係に立つので,窃盗教唆罪と盗品等有償処分あっせん罪は牽連犯となる。

エ.Vの直系血族である甲には盗品等に関する罪について親族等の間の犯罪に関する特例が適用されるため,盗品等有償処分あっせん罪について,甲はその刑を免除される。

オ.甲が腕時計の売却代金を費消したことについては,同腕時計の窃盗犯人である乙は甲に対してその代金の引渡しを請求する権利がないので,甲に委託物横領罪は成立しない。

1.1個
2.2個
3.3個
4.4個
5.5個

「令和元年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001293665.pdf)をもとに作成

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