司法試験短答式試験過去問題一問一答

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令和元年 刑法

第5問 (配点: 3) 備考: 3問正解で部分点2点


次の各【見解】と後記の各【事例】を前提として,後記アからエまでの各【記述】を検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

【見解】

A.行為当時,客観的に存在した全ての事情及び行為後に生じた事情のうち一般人が予見できた事情を判断の基礎とし,その行為から結果が発生することが相当であると認められる場合に因果関係を肯定する。

B.一般人が認識・予見できたであろう事情及び行為者が認識・予見していた事情を判断の基礎とし,その行為から結果が発生することが相当であると認められる場合に因果関係を肯定する。

C.行為の危険性が結果へと現実化したといえる場合に因果関係を肯定する。行為の危険性は行為時に存在した全ての事情を基礎として判断する。

【事例】

Ⅰ.甲は,乙の顔面を手拳で1回殴打した。その殴打は,それだけで一般に人を死亡させるほどの強さではなかったが,乙はもともと特殊な病気により脳組織が脆弱となっており,その1回の殴打で脳組織が崩壊し,その結果,乙が死亡した。

Ⅱ.甲は,乙の首をナイフで突き刺し,直ちに治療しなければ数時間のうちに死亡するほどの出血を来す傷害を負わせた。乙は,直ちに病院で適切な医療処置を受け,一旦容体が安定したが,その後,医師の指示に従わず安静に努めなかったため,治療の効果が減殺され,前記傷害に基づき死亡した。

Ⅲ.甲は,路上で乙の頭部を激しく殴打し,直ちに治療しなければ1日後には死亡するほどの脳出血を伴う傷害を負わせ,倒れたまま動けない乙を残して立ち去った。そこへたまたま通り掛かった無関係の通行人が,乙の腹部を多数回蹴って,内臓を破裂させ,数時間後に乙は内臓破裂により死亡した。

【記述】

甲の行為と乙の死亡との間の因果関係については,

ア.Ⅰの事例で,行為当時,乙は特殊な病気により脳組織が脆弱となっていることを一般人は認識できず,甲も認識していなかった場合,A及びCの見解からは肯定され,Bの見解からは否定される。

「令和元年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001293665.pdf)をもとに作成

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