司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成30年 憲法

第19問 (配点: 2)


次の文章は,憲法上の地方公共団体の意義について述べた最高裁判所の判決(最高裁判所昭和38年3月27日大法廷判決,刑集17巻2号121頁)の判示を要約したものである。この判決に関する次のアからエまでの各記述について,明らかに誤っているものの組合せを,後記1から6までの中から選びなさい。

「憲法が特に一章を設けて地方自治を保障するにいたったのは,新憲法の基調とする政治民主化の一環として,住民の日常生活に密接な関連をもつ公共的事務は,その地方の住民の手でその住民の団体が主体となって処理する政治形態を保障しようとする趣旨からである。この趣旨に徴するときは,憲法第93条第2項にいう地方公共団体といい得るためには,単に法律で地方公共団体として取り扱われているということだけでは足らず,事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み,共同体意識をもっているという社会的基盤が存在し,沿革的にみても,また現実の行政の上においても,相当程度の自主立法権,自主行政権,自主財政権等地方自治の基本的権能を附与された地域団体であることを必要とするものというべきである。」

ア.この判決は,憲法によって保障された地方自治がどのような性質を有するかという問題について,個人が国家に対して固有かつ不可侵の権利を持つのと同様に,地方公共団体もまた固有の前国家的な基本権を有するという立場に立つものである。

イ.この判決は,「事実上住民が経済的文化的に密接な共同生活を営み,共同体意識をもっているという社会的基盤」の存在を地方公共団体の要件として挙げるが,「共同体意識」というのは測定不能で漠然とした概念ではないかとの批判がある。

ウ.この判決のように,沿革上及び行政上の実態を基準に,憲法上の地方公共団体に当たるか否かを判断することは,憲法の下位規範である地方自治法によって憲法の解釈を行うこととなるとの指摘がある。

エ.この判決には,憲法第92条にいう「地方自治の本旨」が,第93条で具体化されている住民自治と第94条で具体化されている団体自治によって構成されていると解する余地がなくなるという問題点がある。

1.ア イ
2.ア ウ
3.ア エ
4.イ ウ
5.イ エ
6.ウ エ

「平成30年 短答式試験 憲法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001258873.pdf)をもとに作成

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