逃走の罪に関する次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,正しいものを2個選びなさい。
1.勾留状によって拘置所に勾留されていた甲は,面会者から密かに差し入れられた合い鍵を用いて房の扉を開け,拘置所から逃走した。甲には加重逃走罪の既遂罪が成立する。
2.確定判決によって刑務所に収容されていた甲は,同房に服役中の乙と逃走する旨の相談をしていたところ,ある日,房の扉が施錠されていないことに気付き,房から出て刑務所から逃走したが,乙は思いとどまり,房の外に出なかった。甲には加重逃走罪の既遂罪が成立する。
3.勾留状によって拘置所に勾留されていた甲は,隣の房に勾留されていた乙に依頼して乙の同房者丙を殴ってもらい,拘置所職員が乙の行動を制止している隙に拘置所から逃走した。甲には加重逃走罪の既遂罪が成立する。
4.確定判決によってA刑務所に収容されていた甲は,B刑務所への護送中,護送車両から逃走した。甲には単純逃走罪の既遂罪が成立する。
5.甲は,勾留状によって拘置所に勾留されていた乙を逃走させるため,乙の房の合い鍵を乙に差し入れたが,乙は拘置所から逃走しなかった。甲には逃走援助罪の既遂罪が成立する。
「平成28年 短答式試験 刑法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001182605.pdf)をもとに作成