【以下の問題の解答に当たっては,国際物品売買契約に関する国際連合条約(ウィーン売買条約)の適用を考慮する必要はない。】
物権的請求権に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものはどれか。
1.A所有の甲土地上に権原なく乙建物を所有しているBがCに乙建物を売却した場合において,CがBからの乙建物の所有権移転登記を経由していないときは,Aは,Cに対し,乙建物の収去及び甲土地の明渡しを求めることができない。
2.A所有の甲土地上に権原なく乙建物を所有しているBがCに乙建物を売却し,CがBからの乙建物の所有権移転登記を経由した後,CがDに乙建物を売却した場合には,DがCからの乙建物の所有権移転登記を経由していないときであっても,Aは,Cに対し,乙建物の収去及び甲土地の明渡しを求めることができない。
3.Aがその所有する甲土地をBに賃貸し,Bが甲土地を自動車の駐車場として利用していたところ,甲土地の賃借権の登記がされない間に,AがCに対し甲土地を売却した場合において,CがAからの甲土地の所有権移転登記を経由していないときは,Bは,Cからの甲土地の明渡請求を拒むことができる。
4.A所有の甲土地に隣接する乙土地の所有者であるBが乙土地を掘り下げたために,両土地の間に高低差が生じ,甲土地が崩落する危険が生じている場合において,その危険が生じた時から20年を経過した後にAがBに対し甲土地の崩落防止措置を請求したときは,Bはその請求権の消滅時効を援用することができる。
「平成28年 短答式試験 民法」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/001182604.pdf)をもとに作成