司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成26年 刑事系科目

第20問 (配点: 3) 備考: 4問正解で部分点2点


次の【事例】に関する後記アからオまでの各【記述】を判例の立場に従って検討し,正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。

【事例】

甲は,知人のAをだまして,A所有の土地・建物(以下「本件不動産」という。)を時価よりも割安な価格で入手した上,他人に転売してもうけを得ようと考えた。そこで,甲は,Aに対し,実際にはそのような事実はないのに,「本件不動産は,現在は公表されていないが,大規模な地盤沈下のおそれのある地域にある。」と伝えた上,「公表される前に,俺が買ってやる。」と言った。Aは,元々,本件不動産を子供に相続させるつもりであり,他人に売り渡すつもりはなかったが,甲の言葉を信じ,低額でも処分しようと思い,某月1日,甲との間で,通常の取引価額の半額程度である2000万円で本件不動産を売却する旨の売買契約を締結した。そして,甲は,同月3日,本件不動産の自己への所有権移転登記を行うとともに,本件不動産の売買代金として,現金2000万円をAに支払い,同月5日,本件不動産の引渡しを受けた。

その後,甲は,乙との間で本件不動産に関する売買の交渉を行ったが,その過程で,乙は,甲がAをだまして相当安い価格で本件不動産を入手したことを知った。しかし,乙は,甲から,売買代金として通常の取引価額よりも低額である3000万円を提示されたことから,同月20日,甲との間で本件不動産の売買契約を締結し,同日,乙への所有権移転登記を行った。

一方,甲は,知人の丙に前記売買代金として現金3000万円を受け取らせ,B銀行の甲名義の預金口座に直ちに同代金を入金させることとし,同月18日,その旨を丙に指示した。丙は,それまでの経緯を知らないまま,甲の指示に従い,同月20日,乙から現金3000万円を受領した。ところが,丙は,多額の借金を抱えており,B銀行に向かう途中,「この現金を元に一もうけして借金返済に充てよう。」と考え,競馬場に行き,乙から受領した現金の全額を馬券購入に充てた。すると,総額で1000万円のもうけが出たので,丙は,同月21日,現金3000万円をB銀行の甲名義の預金口座に入金し,もうけに相当する現金1000万円を自己の借金返済に充てて費消した。

【記述】

イ.甲が本件不動産の乙への所有権移転登記を行った行為には,横領罪が成立する。

「平成26年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000123126.pdf)をもとに作成

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