次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討した場合,誤っているものはどれか。
1.罰則を定めた特別法の法条に,過失行為を処罰する旨の明文の規定がない場合であっても,当該特別法の目的から,罰則を定めた法条に過失行為を処罰する趣旨が包含されていると認められるときには,同法条が刑法第38条第1項ただし書に規定される特別の規定となり,過失による行為を処罰することが可能である。
2.業務上過失致死傷罪の「業務」とは,社会生活上の地位に基づいて反復継続して行われ,または,反復継続して行う意思をもって行われる行為であり,他人の生命・身体等に危害を加えるおそれがあるものをいう。
3.重過失致死傷罪の「重過失」とは,行為者としてわずかな注意を払えば,結果発生を予見することができ,結果の発生を回避できた場合をいう。
4.複数の行為者につき,行為者共同の注意義務が観念でき,行為者がその共同の注意義務に違反し,共同の注意義務違反と発生した結果との間に因果関係が認められる場合には,過失犯の共同正犯が成立し得る。
5.過失行為を行った者を監督すべき地位にある者の過失の有無を判断する際には,信頼の原則は適用されない。
「平成25年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000111056.pdf)をもとに作成