司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成23年 公法系科目

第37問 (配点: 2)


次の【甲群】に掲げるアからウまでのXの各損失について,国又は地方公共団体が損失補償は不要であると主張する場合に,それぞれの理由として最も適切なものを,【乙群】に掲げるAからFまでの中から選んだ場合の組合せを,後記1から4までの中から選びなさい。

【甲群】

ア.市が卸売市場を開設する区域内の土地について,地方自治法第238条の4第7項によりXが期間の定めのない使用許可を受けて店舗を営業していたところ,市長が卸売市場を拡幅する計画に伴い使用許可を撤回したために,Xが当該店舗で営業できなくなることによる損失
(参照条文)地方自治法
第238条の4 1~6 (略)
7 行政財産は,その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。
8,9 (略)

イ.Xが埋設した石油の導管が,近隣に新たに建築物が建築されたために,石油パイプライン事業法に基づく石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準を定める省令第13条第1号に違反する状態となり,Xが導管の移設工事をしなければならなくなった場合の工事費用
(参照条文)石油パイプライン事業の事業用施設の技術上の基準を定める省令
第13条 導管を地下に埋設する場合は,次の各号に掲げるところによらなければならない。
一 導管は,その外面から建築物,地下街,隧道その他の告示で定める工作物に対し告示で定める水平距離を有すること。
二~七 (略)

ウ.Xが自然公園法第20条第3項第1号により建築物の新築許可申請をしたところ,県知事が公園地域の風致・景観を維持する上で重大な支障があるとの理由で不許可処分をしたために,Xが建築物を建築できないことによる損失
(参照条文)自然公園法
第20条 環境大臣は国立公園について,都道府県知事は国定公園について,当該公園の風致を維持するため,公園計画に基づいて,その区域(海域を除く。)内に,特別地域を指定することができる。
2 (略)
3 特別地域(特別保護地区を除く。以下この条において同じ。)内においては,次の各号に掲げる行為は,国立公園にあつては環境大臣の,国定公園にあつては都道府県知事の許可を受けなければ,してはならない。(中略)
一 工作物を新築し,改築し,又は増築すること。
二~十八 (略)
4~9 (略)

【乙群】

A.警察規制による損失であるから。
B.公用制限による損失であるから。
C.地域一帯において土地及び土地利用の現状を変更することの公共性が高いところ,こうした現状変更のための規制による損失であるから。
D.地域一帯において土地及び土地利用の現状を維持することの公共性が高いところ,こうした現状維持のための規制による損失であるから。
E.土地利用の規制により,利益を受ける者が反面で被ることになる損失であるから。
F.土地の利用権が,付与された当初から一定の公益上の理由により消滅すべきことが予定されていたところ,このように予定されていた権利の消滅による損失であるから。

(ア,イ,ウの順とする)
1.F - A - D
2.C - F - E
3.B - F - A
4.C - E - D

「平成23年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf)をもとに作成

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