司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成23年 公法系科目

第21問 (配点: 2)


次の文章は,A省の国家公務員甲乙2名の会話である。アからウまでの下線部の各記述について,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

甲 「課長から,次期通常国会に提出する交通基本法の法案作成に取り掛かるよう指示された件で,少し相談しましょう。今回の作業では,基本法が一般の法律に比べてどのような特色があるのか,まず,この点から調べないといけませんね。」
乙 「例えば,環境基本法では,環境の保全に関する基本的施策として環境基本計画の策定などが定められています。」

甲 「従来の立法例から判断すると,基本法を定めるのであれば,基本的施策としての基本計画の策定については,その大綱は,法律で定めておく事項であると理解していいですね。」
「(ア)法律の留保原則の中でも,侵害留保の考え方によれば,国の将来の基本的な政策について,その在り方を規定するような事項は,国会の議決によるべきであって,行政に委ねることはできないことになっています。」

甲 「地方自治が重視される時代だから,立法の準備に当たっては,法律が地方公共団体に対して与える影響についても,あらかじめ考えておく必要がありそうですね。」
乙 「最近では,公共交通の利用が困難な市民への対策を内容とした生活交通条例を制定した市も存在するようです。こうした市の条例とこれから準備する法律が抵触した場合,どうなるのでしょう。」

「(イ)法律による行政の原理の内容として,法律の優位原則によれば,法律の定めに対する違反が存在する場合には,法律の効力が条例に優越することになっています。法律に抵触する限りで,市の条例は,無効になります。」
乙 「重要な法律案なので,準備に当たっては,関係各方面の意見を聴かないといけない。昔なら,業界アンケートと根回しで足りたのだろうけれど,今回は対話型行政を心掛けてみましょう。命令等を定めようとする場合に行政手続法で求められている意見公募手続にならって意見を集めようと思いますが,こうした手続が違法になることはないですね。」

「(ウ)行政手続法は,法律案について,意見公募手続と同じ内容の手続で広く一般の意見を求めることまで排除する趣旨を含まないでしょう。」

1.ア○ イ○ ウ○
2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○
6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○
8.ア× イ× ウ×

「平成23年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073969.pdf)をもとに作成

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