被告人甲が,被害者V宅において,Vを包丁で突き刺して殺害したという事件に関し,後記aからfまでの【証拠】についての後記アからオまでの【記述】のうち,正しいものは幾つあるか。後記1から6までのうちから選びなさい。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
【証拠】
a.V宅でVを包丁で突き刺した旨の甲が作成した供述書
b.事件直前,V宅を訪ねてきた甲を応接間に通した後,しばらくして,Vの叫び声が聞こえ,応接間を確認したところ,倒れているVを発見した旨のVの妻Aの供述を録取した書面
c.Vの妻A立会いのもとで,司法警察職員が任意処分として行った検証の結果を記載した書面
d.犯行現場に遺留されていた包丁
e.前記包丁に付着していた血液のDNA型がVのものと一致する旨の鑑定の結果を記載した書面
f.甲宅から押収した日記(事件前日の欄に,「Vと口論となった挙句,拳で顔面を殴られた。許せない。」と記載のあるもの。)
【記述】
ア.a,b,c及びeは,証拠書類であるから,その取調べをするについては,朗読又はその要旨を告げる必要があり,d及びfは,証拠物であるから,その取調べをするについては,示させる必要があるがそれで足り,fの記載内容を立証する場合であっても,これを朗読する必要はない。
イ.直接証拠とは,犯罪事実の存在を直接証明する証拠であるから,aからfの中で,直接証拠は,aのみである。
ウ.aは,甲が体験した事実を,甲自ら記載した書面であるから,伝聞証拠には当たらない。
エ.刑事訴訟法第321条第3項の「検証の結果を記載した書面」とは,裁判官の発する令状により行った検証の結果を記載した書面を意味するから,捜査機関が任意処分として行った検証の結果を記載した書面であるcは,同項の「検証の結果を記載した書面」には該当しない。
オ.eは,伝聞証拠ではあるが,刑事訴訟法第321条第4項の「鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したもの」に当たるから,鑑定人の証人尋問を経ることなく,証拠とすることができる。
1.0個
2.1個
3.2個
4.3個
5.4個
6.5個
「平成23年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073971.pdf)をもとに作成