司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成23年 刑事系科目

第29問 (配点: 3)


訴因に関する次のアからオまでの各記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。

ア.検察官は,第1回の公判期日の前であっても,公訴事実の同一性を害しない限度において,起訴状に記載された訴因の追加,撤回又は変更を裁判所に請求することができる。

イ.起訴状における訴因の記載は,裁判所が行う審判対象の範囲を画定するとともに,被告人の防御の対象を明確にする機能を有するものであり,起訴状における罰条の記載も,訴因をより一層特定させて被告人の防御に遺憾のないようにするため法律上要請されているものであるから,訴因により公訴事実が十分に明確にされ,被告人の防御に実質的な不利益が生じない場合であっても,裁判所が起訴状に記載されていない罰条を適用するためには,罰条変更の手続を経なければならない。

ウ.傷害致死の罪について,「被告人は,平成22年5月9日午後9時ころ,H市I区所在のJホテル7号室において,Vに対し,その頭部等に手段不明の暴行を加え,頭蓋冠,頭蓋底骨折等の傷害を負わせ,よって,そのころ,同所において,頭蓋冠,頭蓋底骨折に基づく外傷性脳障害又は何らかの傷害により死亡させた。」という訴因とすることは,暴行態様,傷害の内容及び死因の表示が概括的なものにとどまるから,検察官において,当時の証拠に基づき,できる限り日時,場所,方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものであっても,訴因の特定に欠ける。

エ.検察官において,共謀共同正犯者の存在に言及することなく,被告人が1人で自動二輪車を窃取したという窃盗の訴因で公訴を提起した場合,裁判所が,証拠上,他に実行行為を行っていない共謀共同正犯者が存在するとの心証を得たとしても,被告人1人の行為により犯罪構成要件の全てが満たされたと認めるときは,訴因どおりの犯罪事実を認定することができる。

オ.裁判所は,訴因の追加又は変更により被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあると認めるときは,被告人又は弁護人の請求により,決定で,被告人に十分な防御の準備をさせるため必要な期間公判手続を停止しなければならない。

1.ア エ
2.ア オ
3.イ ウ
4.イ エ
5.ウ オ

「平成23年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073971.pdf)をもとに作成

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