司法試験短答式試験過去問題一問一答

利用規約プライバシーポリシーご意見・お問い合わせランダム一問一答

平成23年 刑事系科目

第28問 (配点: 4) 備考: 3問以上正解で部分点2点


次の【事例】に登場する後記甲,乙,丙,丁及び戊の5名につき,公判請求された公訴事実の全部又は一部について明らかに刑事訴訟法第89条に規定された権利保釈が認められないものには1を,それ以外のものには2を選びなさい。なお,いずれも,勾留は継続されているものとする。

【事例】

甲は,詐欺の罪により懲役8年の刑に処せられ,乙は,強盗致傷の罪により懲役7年の刑に処せられ,丙は,器物損壊の罪により懲役1年の刑に処せられ,いずれも,同じ刑事施設に収容されて顔見知りとなった。甲,乙及び丙は,いずれも平成21年中に刑の執行を終了し,その後,それぞれH市内に住居を定めて生活していた。

平成22年7月2日,甲及び乙が甲の自宅で住居不定の丁と一緒に食事をしていたところ,丙がH市内に住居を有する戊を連れて遊びに来た。その後,甲,乙,丙,丁及び戊の5名は,雑談をしていたが,その途中,他人の住居に侵入して金品を窃取する旨の謀議が成立した。そして,同日午後10時,甲,乙,丙,丁及び戊の5名は,H市内に所在するVの住居に侵入して金品を窃取したが,Vの住居を出たところで,警察官の職務質問を受けて犯行を自白し,住居侵入,窃盗の事実により緊急逮捕された。その後,甲,乙,丙,丁及び戊の5名は,同月3日中にH地方検察庁検察官に送致されて勾留を請求された上,緊急逮捕された事実と同一の住居侵入,窃盗の事実により勾留され,同月12日,勾留された事実と同一の住居侵入,窃盗の事実により公判請求された。

甲,乙及び丁の3名には余罪がなかったが,丙には,H市内で連続して車のタイヤをパンクさせた余罪,戊には,知人を包丁で突き刺して傷害を負わせた余罪があった。そのため,丙は,同月13日,暴力行為等処罰に関する法律第1条の3に違反する事実で逮捕され,同月14日中にH地方検察庁検察官に送致されて勾留請求された上,逮捕された事実と同一の同法律第1条の3に違反する事実により勾留され,同月23日,勾留された事実と同一の同法律第1条の3に違反する事実により公判請求された。一方,戊は,同年7月13日,殺人未遂の事実で逮捕され,同月14日中にH地方検察庁検察官に送致されて勾留請求された上,逮捕された事実と同一の殺人未遂の事実により勾留され,同月23日,殺人未遂の事実ではなく,傷害の事実により公判請求された。

なお,甲,乙及び丙については,前記前科以外の前科がなく,丁及び戊については,前科がないものとし,甲,乙,丙,丁及び戊のいずれについても,逃亡のおそれは認められるが,「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」及び「被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由」は認められないものとする。

(参照条文)暴力行為等処罰に関する法律
第1条ノ3 常習トシテ刑法第204条,第208条,第222条又ハ第261条ノ罪ヲ犯シタル者人ヲ傷害シタルモノナルトキハ1年以上15年以下ノ懲役ニ処シ其ノ他ノ場合ニ在リテハ3月以上5年以下ノ懲役ニ処ス

「平成23年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073971.pdf)をもとに作成

平成23年 刑事系科目 第28問 (配点: 4) 備考: 3問以上正解で部分点2点 | 司法試験短答式試験過去問題一問一答
このエントリーをはてなブックマークに追加
61 / 76