次の1から5までの各記述を判例の立場に従って検討し,誤っているものを2個選びなさい。
1.甲は,乙が第三者から盗んできた物を,盗品かもしれないと認識していたが,値段が安いのでそれでも構わないと思って有償で譲り受けた。この場合,甲には盗品等有償譲受け罪は成立しない。
2.甲は,殺意をもって乙の首を絞め,乙が気絶したのを見て既に窒息死したものと誤信し,乙を海に投げ込んだところ,乙は海中で溺死した。この場合,甲には殺人罪が成立する。
3.甲は,自己が経営する店において,わいせつな映像を録画したDVDを販売したが,あらかじめ同DVDの映像を再生してその内容を認識していたものの,この程度ではわいせつ図画に当たらないと考えていた。この場合,甲にはわいせつ図画販売罪が成立しない。
4.甲は,パチンコ店の従業員乙が運搬していた同店の売上金の入ったかばんを強取するため,乙の後方から,乙の頭部を狙い,殺意をもってけん銃の弾丸を発射したところ,同弾丸は乙の肩を貫通した上,甲が認識していなかった通行人丙の腹部に命中し,乙と丙にそれぞれ傷害を負わせた。この場合,甲には,乙に対する強盗殺人未遂罪,丙に対する強盗殺人未遂罪がそれぞれ成立し,両罪は観念的競合となる。
5.甲は,乙に対して丙に暴行するよう教唆したところ,乙が丙の頭部を1回殴り,その結果,丙が転倒して地面に頭部を打ち付け,脳挫傷により死亡した。この場合,甲には傷害致死罪の教唆犯が成立する。
「平成23年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073971.pdf)をもとに作成