司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成23年 刑事系科目

第16問 (配点: 3)


業務上の占有者による横領行為に非占有者が加功した場合の罪責について,教授及び学生が次の【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑤までの( )内に後記アからキまでの【発言】から適切な語句を入れた場合,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちのどれか。

【会話】

教授.保険会社の保険料集金担当従業員である甲が,同社の従業員ではない知人乙と共謀の上,集金した保険料を横領した事例のように,業務上の占有者に非占有者が加功した場合のそれぞれの罪責について,共犯と身分の観点から,どのようなことが問題になりますか。
学生.業務上横領罪の成否に関して,同罪は,単純横領罪との関係では(①)であり,他方,非占有者との関係では(②)となりますから,特に乙に対して,何罪が成立するのかが問題になります。

教授.判例ではこの事例はどのような結論になりますか。
学生.判例は,(③)としています。

教授.判例の立場に対しては,どのような批判がなされていますか。
学生.非身分者について罪名と科刑の分離を認めるのは妥当でないという批判がなされています。

教授.この点を克服するための考え方としては,どのようなものがありますか。
学生.刑法第65条第1項は違法身分について規定し,同条第2項は責任身分について規定していると考え,業務上横領罪については,(④)と捉えた上で,この事例では(⑤)とする見解などがあります。

【発言】

ア.占有の受託者という身分があることによって犯罪行為になる構成的身分犯

イ.業務者という身分があることによって刑が加重・減軽される加減的身分犯

ウ.占有の受託者たる身分は責任身分,業務者たる身分は違法身分

エ.占有の受託者たる身分は違法身分,業務者たる身分は責任身分

オ.刑法第65条第1項により甲には業務上横領罪が,同条第2項により乙には単純横領罪がそれぞれ成立し,甲及び乙は単純横領罪の範囲で共犯となる

カ.刑法第65条第1項により甲及び乙は業務上横領罪の共犯となり,同条第2項により乙に対しては単純横領罪の刑を科す

キ.刑法第65条第1項により甲及び乙は単純横領罪の共犯となり,更に同条第2項により甲については業務上横領罪が成立する

1.①ア ②イ ③カ ④ウ ⑤オ
2.①ア ②イ ③キ ④ウ ⑤オ
3.①イ ②ア ③オ ④エ ⑤カ
4.①イ ②ア ③カ ④エ ⑤キ
5.①イ ②ア ③キ ④ウ ⑤カ

「平成23年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073971.pdf)をもとに作成

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