司法試験短答式試験過去問題一問一答

利用規約プライバシーポリシーご意見・お問い合わせランダム一問一答

平成23年 刑事系科目

第4問 (配点: 2)


学生Aと学生Bは,次の【事例】について,後記【会話】のとおり議論している。【会話】中の①から⑦の( )内に,後記aからnまでの【語句群】から適切な語句を入れた場合,( )内に入るものの組合せとして正しいものは,後記1から5までのうちどれか。

【事例】

甲は,過去数回,飲酒酩酊の上,正常な運転ができない状態で自動車を運転し,物損事故を起こして運転免許取消処分を受けていたが,運転免許を再取得しないまま,自動車の運転を続けていた。

ある日,甲は,自動車を運転して居酒屋に行き,同居酒屋で飲酒し始めたが,仮に酩酊して正常な運転ができない状態になっても,自動車を運転して帰宅するつもりであった。

甲は,同居酒屋で日本酒1升を飲み,酩酊して是非善悪の識別能力及びその識別に従って行動を制御する能力を失った状態で,帰宅するために自動車の運転を開始した。しかし,甲は,飲酒酩酊により正常な運転ができなかったため,自車を歩道上に乗り上げさせて歩行中の乙を跳ね飛ばし,乙を死亡させた。

【会話】

学生A.この事例は,構成要件としては,(①)罪に当てはまりそうだけど,甲は,運転開始時,是非善悪の識別能力及びその識別に従って行動を制御する能力を失った状態だね。
学生B.そうすると,運転開始時に甲は(②)がなかったことになるから,甲は不可罰になるのだろうか。

学生A.甲が(②)に影響が出ない程度に飲酒して,正常な運転が困難な状態で自動車を運転していたら(①)罪が成立するのに,この事例が不可罰になるなんて納得できないな。
学生B.こういう場合に,甲の可罰性を根拠付ける理論として,(③)があったね。

学生A.確か「直接結果を惹起した行為の際には(②)がなくても,その原因となった行為の際に完全な(②)があれば,完全な責任が問いうる。」という理論だったよね。
学生B.この理論の根拠は何だろう。

学生A.(④)を維持しつつ,構成要件該当事実を原因行為まで遡及させる立場と,(④)の例外を認め,責任だけを原因行為時に遡及させる立場があるよね。
学生B.(②)を欠いた自分を道具として利用すると捉え,(⑤)と同様に考える見解は,前者の立場に分類されるね。

学生A.だけど,甲が乙を自動車ではねた時点で甲自身が道具といえるか問題となる場合として,甲が(⑥)だった場合があるね。
学生B.確かに,道具といえるか問題があるね。判例は,(⑥)の場合,(③)の理論を(⑦)よね。

【語句群】

a.業務上過失致死
b.危険運転致死
c.責任能力
d.行為能力
e.原因において違法な行為
f.原因において自由な行為
g.行為と責任の同時存在の原則
h.罪刑法定主義
i.共謀共同正犯
j.間接正犯
k.心神喪失
l.心神耗弱
m.適用している
n.適用していない

1.①a ②c ③e ④g ⑤j ⑥l ⑦m
2.①a ②d ③f ④g ⑤i ⑥l ⑦n
3.①b ②c ③f ④g ⑤j ⑥l ⑦m
4.①b ②c ③f ④h ⑤i ⑥k ⑦n
5.①b ②d ③e ④g ⑤j ⑥k ⑦m

「平成23年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073971.pdf)をもとに作成

平成23年 刑事系科目 第4問 (配点: 2) | 司法試験短答式試験過去問題一問一答
このエントリーをはてなブックマークに追加
10 / 76