司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成23年 民事系科目

第74問 (配点: 2) 備考: 順不同(1問正解で部分点1点)


Xは,薬剤製造販売業者Yが販売した医薬品を摂取したため,健康被害が生じたと主張しているが,Yは,医薬品と健康被害との間の因果関係を争っている。そこで,Xは全国の同様の被害を主張している者に呼び掛けて被害者の会を設立したところ,その会員数は1000名を超えた。Xは,全国の会員らと共にYを被告として損害賠償を求める訴えを提起することにしている。この事例に関する次の1から4までの各記述のうち,判例の趣旨に照らし正しいものを2個選びなさい。

1.Xらは,Yの住所地にかかわらず,Xらの住所地を管轄する各地方裁判所に訴えを提起することができるが,裁判所は,訴訟の著しい遅滞を避け,又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは,申立てにより又は職権で,訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

2.Xらの中には弁護士費用を支払う資力のない者もいる。しかし,弁護士費用は損害としてYに請求することができるから,裁判所は,訴え提起の手数料や送達費用,鑑定費用等について訴訟上の救助を認めるか否かの判断において,弁護士費用を支払う資力がないことを考慮することはできない。

3.Xらは,Yが販売した医薬品によって健康被害が生じたことを,個々の原告ごとに立証しなければならないが,訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく,経験則に照らして全証拠を総合検討し,特定の事実が特定の結果発生を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性を証明することであり,その判定は,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを必要とし,かつ,それで足りるものである。

4.Xらに損害が生じたことは認められても,その損害額の立証が極めて困難であるときは,裁判所は,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づき,相当な損害額を認定することができるが,損害額の立証が不十分であるとして請求を棄却することもできる。

「平成23年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073970.pdf)をもとに作成

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