裁判上の陳述に関する次のアからオまでの各記述のうち,正しいものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.所有権に基づく建物明渡請求訴訟の原告が,最初にすべき口頭弁論の期日において,被告との間で当該建物について使用貸借契約を締結したがその契約は終了した旨の陳述をしたのに対し,被告は,請求棄却を求め事実に対する認否は追って行う旨の答弁書を提出し,その期日には出頭しなかった。被告が次の口頭弁論の期日にも出頭しなかった場合,原告は,その期日において,使用貸借契約を締結した旨の陳述を撤回することができる。
イ.原告と被告との間に父子関係があると主張して提起された認知の訴えにおいて,被告が父子関係の存在の事実を認める旨の陳述をしたときは,裁判所は,その陳述に反する事実を認定することができない。
ウ.所有権に基づく建物明渡請求訴訟の原告が,原告本人の尋問において,被告が抗弁として主張した当該建物についての賃貸借契約締結の事実を認める旨の陳述をしたときは,裁判所は,その陳述に反する事実を認定することができない。
エ.判例の趣旨によれば,代理人による契約締結の事実を主張する原告が代理権授与の事実を証明するための証拠として委任状を提出し,被告がその成立の真正を認める旨の陳述をした場合であっても,裁判所は,当該委任状が真正に成立したものではないと認めることができ,被告は,その陳述をいつでも撤回することができる。
オ.所有権に基づく建物明渡請求訴訟の原告が,被告との間で当該建物について使用貸借契約を締結したがその契約は終了した旨の陳述をしたのに対し,被告は,当該建物はもともと自己の所有する建物であったと主張し,口頭弁論の終結に至るまで,原告が陳述した使用貸借契約締結の事実を援用しなかった。この場合,裁判所は,証拠調べの結果,当該使用貸借契約締結の事実が認められるとの心証を得ても,この事実を判決の基礎とすることができない。
1.ア ウ
2.ア エ
3.イ ウ
4.イ オ
5.エ オ
「平成23年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073970.pdf)をもとに作成