相殺に関する次のアからオまでの各記述のうち,判例の趣旨に照らし誤っているものを組み合わせたものは,後記1から5までのうちどれか。
ア.消滅時効期間の経過した債権が,その期間経過以前に債務者の有する反対債権と相殺適状にあった場合には,消滅時効期間の経過した債権を有する債権者は,債務者による消滅時効の援用の前後を問わず,相殺をすることができる。
イ.債務者が受働債権の譲受人に対し相殺をもって対抗することができる場合には,その相殺の意思表示は,受働債権の譲渡人にすれば足りる。
ウ.不法行為に基づく損害賠償債権を自働債権とし,不法行為に基づく損害賠償債権以外の債権を受働債権とする相殺は,許される。
エ.請負人の注文者に対する請負代金債権と,注文者の請負人に対する目的物の瑕疵修補に代わる損害賠償請求権は,同時履行の関係にあるため,注文者及び請負人は,原則として共に相殺することができないが,双方の債権額が等しい場合には例外として相殺をすることができる。
オ.有価証券に表章された金銭債権の債務者は,その債権者に対して有する弁済期にある自己の金銭債権を自働債権とし,有価証券に表章された金銭債権を受働債権として相殺する場合であっても,有価証券の占有を取得する必要はない。
1.ア イ
2.ア ウ
3.イ エ
4.ウ オ
5.エ オ
「平成23年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000073970.pdf)をもとに作成