司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 公法系科目

第31問 (配点: 2)


処分性に関する次のアからウまでの各記述について,最高裁判所の判例に照らし,正しいものに○,誤っているものに×を付した場合の組合せを,後記1から8までの中から選びなさい。

ア.公共施設の管理権限を有する行政機関が都市計画法に基づく開発行為の許可を申請しようとする者に対して同法第32条第1項の同意を拒否する行為は,公共施設の適正な管理上当該開発行為を行うことは相当でない旨の公法上の判断を表示する行為といえるところ,この同意が得られなければ,公共施設に影響を与える開発行為を適法に行うことができないことからすると,上記の同意を拒否する行為は,それ自体が開発行為を禁止し,又は制限する効果を持つものといえるから,国民の権利ないし法律上の地位に直接影響を及ぼすものとして,処分性が認められるものといえる。

(参照条文)都市計画法
第30条 前条第1項又は第2項の許可(以下「開発許可」という。)を受けようとする者は,(中略)次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。
一~五 (略)
2 前項の申請書には,第32条第1項に規定する同意を得たことを証する書面(中略)を添付しなければならない。
第32条 開発許可を申請しようとする者は,あらかじめ,開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し,その同意を得なければならない。
2,3 (略)
第33条 都道府県知事は,開発許可の申請があつた場合において,当該申請に係る開発行為が,次に掲げる基準(中略)に適合しており,かつ,その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは,開発許可をしなければならない。
一~十四 (略)
2~8 (略)

 

イ.市町村長が住民票に住民基本台帳法所定の事項を記載する行為は,元来,いわゆる公証行為であり,それ自体によって新たに国民の権利義務を形成し,又はその範囲を確定する法的効果を有するものではないが,同法及び公職選挙法の規定によれば,住民票に特定の住民の氏名等を記載する行為は,その者が当該市町村の選挙人名簿に登録されるか否かを決定付けるものであって,その者は選挙人名簿に登録されない限り原則として投票することができないのであるから,同行為には法的効果が与えられているといえる。そして,住民票上,住民の氏名等の記載と世帯主との続柄の記載とが一体となっていることからすると,住民票に世帯主との続柄を記載する行為についても,処分性が認められるものといえる。

ウ.地方公共団体の水道事業に関して,水道料金の値上げを内容とする「水道事業給水条例」が制定された場合,水道需要者は,同条例の施行によって,その後にされる個別的行政処分を経ることなく,同条例に従って値上げされた水道料金の支払義務を負わされることになるから,同条例の制定行為には,処分性が認められるものといえる。

1.ア○ イ○ ウ○
2.ア○ イ○ ウ×
3.ア○ イ× ウ○
4.ア○ イ× ウ×
5.ア× イ○ ウ○
6.ア× イ○ ウ×
7.ア× イ× ウ○
8.ア× イ× ウ×

「平成21年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006451.pdf)をもとに作成

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