司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 公法系科目

第29問 (配点: 2)


次の文章は,知事Yがした医療法(平成18年法律第84号による改正前のもの。以下「法」という。)第7条に基づく病院の開設許可(以下「本件開設許可」という。)について,同病院の開設地の市又はその付近において医療施設を開設し医療行為をする医師等であるX(上告人)らがその取消しを求めた事案について判断を示した最高裁判所平成19年10月19日第二小法廷判決の判示の一部である。この判決に関する後記アからエまでの各記述について,明らかに誤っているものの個数を,後記1から5までの中から選びなさい。

「法は,(中略)病院の開設許可については,その申請に係る施設の構造設備及びその有する人員が(中略)厚生労働省令の定める要件に適合するときは許可を与えなければならないこと(7条4項),営利を目的として病院を開設しようとする者に対しては許可を与えないことができること(同条5項)を定めており,許可の要件を定めるこれらの規定は,病院開設の許否の判断に当たり,当該病院の開設地の付近で医療施設を開設している者等(以下「他施設開設者」という。)の利益を考慮することを予定していないことが明らかである。」「法の目的を定める法1条及び医師等の責務を定める法1条の4の規定からも,病院開設の許可に関する法の規定が他施設開設者の利益を保護すべきものとする趣旨を含むことを読み取ることはできず,そのほか,上告人らが本件開設許可の取消しを求める法律上の利益を有すると解すべき根拠は見いだせない。」

(参照条文)医療法
第1条 この法律は,病院,診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項並びにこれらの施設の整備を推進するために必要な事項を定めること等により,医療を提供する体制の確保を図り,もつて国民の健康の保持に寄与することを目的とする。
第1条の4 医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他の医療の担い手は,第1条の2に規定する理念に基づき,医療を受ける者に対し,良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならない。
2~4 (略)
第7条 病院を開設しようとするとき(中略)は,開設地の都道府県知事(中略)の許可を受けなければならない。
2,3 (略)
4 都道府県知事(中略)は,前三項の許可の申請があつた場合において,その申請に係る施設の構造設備及びその有する人員が(中略)厚生労働省令の定める要件に適合するときは,前三項の許可を与えなければならない。
5 営利を目的として,病院,診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては,前項の規定にかかわらず,第1項の許可を与えないことができる。

 

ア.この判決は,Xらの原告適格について,本件開設許可の根拠となる規定の趣旨にかかわらず,Xらの利益が保護すべきものであるかどうかによって判断すべきであるとの考え方に基づいている。

イ.この判決の考え方によれば,一般に,事業等の許可に関する限り,当該許可の名あて人たる事業者と競争関係に立つ事業者には当該許可の取消しを求める原告適格がないことになる。

ウ.この判決は,関係法令の趣旨に照らし,医療計画の策定の目的は,良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保することにあることから,他施設開設者の利益を保護する趣旨を含むものであるということを前提に,Xらの原告適格について判断したものである。

エ.この判決は,Xらが,本件開設許可により,自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され,又は必然的に侵害されるおそれのある者には該当しないとの判断を示したものである。

1.1個
2.2個
3.3個
4.4個
5.0個

「平成21年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006451.pdf)をもとに作成

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