A市では,職員の非違行為の類型とそれに対して課されるべき懲戒処分の種別及び程度を規定した内部基準(地方公務員法第29条第1項第1号にいう条例,規則又は規程のいずれにも該当しないもの。以下「本件基準」という。)を定めているが,A市市長は,職員Xに対し,本件基準よりも厳しい懲戒処分(以下「本件処分」という。)を行った。そこで,Xは,本件処分の取消訴訟を提起した。この事例に関する次のアからエまでの各記述について,それぞれ正しい場合には1を,誤っている場合には2を選びなさい。
(参照条文)地方公務員法
第29条 職員が次の各号の一に該当する場合においては,これに対し懲戒処分として戒告,減給,停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第57条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例,地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合
二 職務上の義務に違反し,又は職務を怠つた場合
三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
2~4 (略)
ウ.最高裁判所の判例によれば,行政機関が裁量基準を定めたにもかかわらず,その基準に違背する処分をした場合,当該処分は,裁量権の範囲を超え,又は濫用したものとして,原則として違法となるものと解されている。
「平成21年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006451.pdf)をもとに作成