刑事訴訟法第39条第3項は,「検察官,検察事務官又は司法警察職員(中略)は,捜査のため必要があるときは,公訴の提起前に限り,第一項の接見又は授受に関し,その日時,場所及び時間を指定することができる。但し,その指定は,被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであつてはならない。」と規定するが,次の【事例】につき,検察官等が同項の指定権を行使することができるか否かについて述べた後記アからオまでの【記述】のうち,正しいものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。ただし,判例がある場合には,それに照らして考えるものとする。
【事例】
甲は,平成○年4月10日,X市で発生した窃盗事件(①事件)で逮捕され,4月13日に勾留された後,5月2日,窃盗罪で起訴された。①事件の捜査中,甲にY市で発生した殺人事件(②事件)の被疑者である嫌疑が生じたため,起訴後に勾留されていた甲は,5月3日以降,②事件について任意で取り調べられた。その後,甲は,5月10日,②事件で逮捕され,5月13日に勾留された後,6月1日,殺人罪で起訴された。
他方,甲の妻は,4月10日,弁護士Aを①事件の弁護人として選任し,5月4日,弁護士Bを②事件の弁護人として選任した。
【記述】
ア.4月10日の弁護人Aによる初回の接見について,指定権を行使することはできない。
イ.5月5日の弁護人Aによる接見について,指定権を行使することができる場合がある。
ウ.5月5日の弁護人Bによる接見について,指定権を行使することはできない。
エ.5月14日の弁護人Aによる接見について,指定権を行使することはできない。
オ.5月20日の弁護人Bによる接見について,指定権を行使することができる場合がある。
1.ア イ
2.ア エ
3.イ ウ
4.ウ オ
5.エ オ
「平成21年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006453.pdf)をもとに作成