甲は,道路を通行中,飼い主乙の不注意により乙のもとから逃げ出した犬に足首付近をかみつかれそうになった。このような状況における甲の行為に関する同人の罪責についての次の1から5までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい(ただし,甲には,各記述に記載された犯罪の故意があるものとする。)。
1.甲は,逃げ場がなかったことから,犬を足で蹴って怪我をさせた。甲に器物損壊罪が成立する。
2.甲は,逃げ場がなかったことから,犬を足で蹴ったが,更に犬が甲の足首付近にかみつこうとしたので,近くのA方住居に無断で逃げ込んだ。甲に住居侵入罪は成立しない。
3.甲は,逃げ場がなかったことから,犬を足で蹴ったが,更に犬が甲の足首付近にかみつこうとしたので,近くにいたBを突き飛ばして身をかわしたところ,それによりBは転倒して頭部を強打したため,脳内出血により死亡した。甲に傷害致死罪は成立しない。
4.甲は,逃げ場がなかったことから,近くで事態を傍観していた飼い主乙に対し,「犬をおとなしくさせないとお前を殺すぞ。」と怒鳴って脅した。甲に脅迫罪が成立する。
5.甲は,逃げる余裕があったのにその場にとどまり,たまたま所持していたC所有の傘で犬を強打して怪我をさせるとともに,その傘を壊した。甲に器物損壊罪が成立する。
「平成21年 短答式試験 刑事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006453.pdf)をもとに作成