司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成21年 民事系科目

第74問 (配点: 2)


次の【事例】を前提とし,要件事実に関する次の1から5までの各記述のうち,誤っているものはどれか。

【事例】

Aは,かつて世話になったことのある知人Bに対し,平成11年1月5日,自己が所有する甲絵画を,代金200万円で売却し,同日,これをBに引き渡したが,いまだに代金が支払われていないとして,平成21年3月1日,Bに対し,代金200万円の支払を求める訴えを地方裁判所に提起した(以下,Aが主張する売買契約を「本件売買契約」という。)。

これに対して,Bは,Aが主張するとおりの売買契約を締結して甲絵画を受け取ったのは事実であり,その際,代金の支払期限は定められなかったものの,平成11年1月10日に代金を既にAに支払済みであり,仮にその弁済の事実が認められないとしても,Aが訴求する売買代金請求権は,既に時効消滅していると主張し,前記訴訟の第1回口頭弁論期日(平成21年4月3日)において時効を援用した。

Aは,Bの弁済の事実を否認するとともに,Bの消滅時効の主張については,第2回口頭弁論期日において,Bに対し,かねてから再三にわたり代金の支払を求めていたところ,平成20年1月5日,Bは,Aから代金の支払を催促された際,Aに対し,1か月間支払を待ってほしいと要請したと主張したが,Bはその主張事実を否認した。

 

1.AのBに対する請求は,訴訟物としては,平成11年1月5日にAとBとの間で締結された甲絵画を代金200万円で売る旨の売買契約に基づくAのBに対する代金200万円の支払請求権と特定することができる。

2.Aが訴訟で請求原因として主張しなければならない要件事実は,「Aは,Bに対し,平成11年1月5日,甲絵画を,代金200万円で売り,これを即日,Bに引き渡した。」である。

3.Bの弁済の主張は抗弁であるが,その要件事実は,「Bは,Aに対し,平成11年1月10日,本件売買契約に基づく代金支払債務の履行として200万円を支払った。」である。

4.Bの消滅時効の主張は抗弁であるが,その要件事実は,「平成21年1月5日は経過した。Bは,Aに対し,平成21年4月3日の第1回口頭弁論期日において,時効を援用するとの意思表示をした。」である。

5.Bが,平成20年1月5日,Aから代金の支払を催促された際,支払を1か月間待ってほしいと要請したとのAの主張は,時効中断事由である債務の承認に該当する事実を主張するものであり,消滅時効の抗弁に対する再抗弁となる。

「平成21年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006452.pdf)をもとに作成

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