司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成19年 民事系科目

第70問 (配点: 4) 備考: 順不同(1問正解で部分点2点)


Xは,「甲建物は,かつてAが所有していたが,同人が死亡し,同人の子で唯一の相続人であるXが相続した。しかるに,Yは何らの権原もなく,同建物を占有している。」と主張し,同建物の所有権に基づいて,Yに対して,同建物の明渡しを求める訴えを提起した。この事案に関する次の1から4までの各記述のうち,正しいものを2個選びなさい。

1. Yは,「Xが甲建物を所有していることは否認する。元所有者のAは,生前Yに甲建物を売却した。」と主張した。裁判所は,証拠調べの結果,AはYではなく,Bに同建物を売却したと認めた場合でも,Bへの売買がされているのでXは同建物を所有していないとの理由で,Xの請求を棄却することはできない。

2. Yは,「元所有者のAは,生前Yに甲建物を賃貸し,同建物を引き渡した。」と主張した。Xは,このYの主張を否認し,「AはYに,甲建物を,期間の定めなくYの居住のため無償で利用させる旨約束して,これを引き渡したが,Yの居住の目的に従った使用収益をするのに足りる期間は経過した。」と主張した。Yは,このXの主張を全部否認した。裁判所は,証拠調べの結果,AY間において使用貸借契約が成立したが,Xの主張する期間の経過は認められないと判断した場合,Yの使用借権の存在を理由として,Xの請求を棄却することができる。

3. Yは,「Xが甲建物を所有していることは認めるが,Xは,元所有者のCから買い受けたものである。Xは,Yに同建物を賃貸し,引き渡した。」と主張した。裁判所は,証拠調べの結果,Xは,同建物を元所有者のCから買い受けたものであり,Aから相続したものではないと認めた場合には,XY間の建物賃貸借が認められないと判断したときでも,Xの請求を認容することはできない。

4. Yは,「XがAから甲建物を相続したことは認めるが,Xは,Dに対して同建物を売却し,YはDから同建物を買い受けた。」と主張した。裁判所は,証拠調べの結果,XがDに対して同建物を売却したことは認められるが,DからYへの売却については認められないと判断した場合には,Xの請求を棄却することはできない。

「平成19年 短答式試験 民事系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006372.pdf)をもとに作成

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