司法試験短答式試験過去問題一問一答

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平成18年 公法系科目

第19問 (配点: 2)


憲法第17条及び国家賠償法に関する次のアからオまでの各記述について,明らかに誤っているもの二つの組合せを,後記1から10までの中から選びなさい。

ア. 憲法第17条にいう「不法行為」は,民法上の「不法行為」と同義であると解し,かつ,公権力の行使について損害賠償請求をするには民法以外の特別の法律が必要であるとの見解がある。この見解によれば,国家賠償法第1条を改正し,公務員に故意がある場合にのみ賠償請求権が発生すると定めた場合,当該改正は憲法違反であると解される。

イ. 憲法第17条を受けて制定された国家賠償法第1条は,公務員の不法行為に基づく国又は公共団体の責任を定めている。論理的には,この責任につき,国又は公共団体の自己責任であると解すると,公務員個人に対する賠償請求権は否定され,他方,代位責任であると解すると,公務員個人に対する賠償請求権は否定されないということになる。

ウ. 憲法第17条及び国家賠償法第1条にいう「公務員」には,国会議員も含まれると解され,憲法第51条に定める国会議員の免責特権との関係が問題となる。この点,国家賠償法第1条第1項の適用上,国会議員個々人ではなく,国会自体について,その組織的行為の評価を論ずれば足りると解する立場を採れば,憲法第51条は,国会の不法行為を理由とする国家賠償責任追及の法的障害とはならない。

エ. 国会議員は,憲法を尊重し擁護する義務を負っているので,違憲の法律を制定してはならないという行為規範の遵守義務が課されている。したがって,国会において議決された法律が違憲であれば,立法過程における国会議員の立法活動の当否にかかわらず,当該立法行為は,国家賠償法第1条第1項の適用上も違法となるとするのが,最高裁判所の基本的な考え方である。

オ. 憲法第17条は,「国家無答責の原則」を否定する趣旨の規定であるが,国民に生じたあらゆる損害を国が賠償することまで定めたものではない。例えば,最高裁判所は,内閣等が物価安定という政策目標達成への対応を誤り原告らの郵便貯金を目減りさせたとしても,政府の政治的責任が問われるのは格別,法律上の義務違反ないし違法行為として国家賠償法上の損害賠償責任の問題は生じない旨判示した。

1. アとイ
2. アとウ
3. アとエ
4. アとオ
5. イとウ
6. イとエ
7. イとオ
8. ウとエ
9. ウとオ
10. エとオ

「平成18年 短答式試験 公法系科目」(法務省)(https://www.moj.go.jp/content/000006517.pdf)をもとに作成

平成18年 公法系科目 第19問 (配点: 2) | 司法試験短答式試験過去問題一問一答
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